■人々の生活にもなじみが深いイチイガシ
イチイガシはブナ科の常緑広葉樹で、大きく育ちます。樹高は20メートルほどですが、高台にあるため、遠くからも良く見えます。イチイガシの特徴がよく表れた樹で、近くに行って触ったり、見上げたりするとさらによく分かります。
漢字では「石樹」とも書きますが、「梏樹」と書くこともあります。材が堅いので、舟の櫓(ろ)や櫂(かい)に利用され、昔は槍の柄にも使われていました。実は大きく長さ2センチメートルくらいの楕円形で、宇土市(うとし)花園町にある曽畑(そばた)貝塚から多量のイチイガシの実(どんぐり)が出土し、全国的な話題になりました。その実が縄文時代から食用にされていたことから分かるように、イチイガシは人々の生活に深くかかわっていた樹です。
神社が釜尾地区の集落に移った後も、毎年10月には村人がこの樹の下に集まり、お神酒を供え、祭りを催していたといわれています。祭りは途絶えてしまいましたが、今なお天神さまの樹としてあがめられています。
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