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  老樹名木詳細
 
永目神社の雀榕(ながめじんじゃのあこう)


■地元の宝として大事にされるアコウの樹
 天草上島の東海岸、天草松島の合津港から、かつて日本で一番短い名前の村といわれた阿村を経て姫戸町の中心地・姫浦に向かう海岸道路は、道幅が広く平坦な新しい道で、快適なドライブが楽しめるコースです。天草に行く主要道路ではないので知られていませんが、不知火海を挟んで八代・芦北の山を望む景観の素晴らしさだけでなく、見所や話題が多いところです。
 その一つがこのアコウの大樹で、姫浦に着く2キロメートルほど手前にある永目という集落のほぼ中心にある永目神社の境内、鳥居を入ると社殿の左少し奥の位置に立っています。県内最大のアコウで、全国でも第3位の大きさです。
 幹は黄緑色のコケが一面に付き、大小の気根が重なり合い絡み合って、幹をますます大きく見せています。また、垂れ下がって柱を立てたようになった気根や、根本から10メートルくらいの範囲に多くの根が地表に現れているなど、いかにも老樹らしい威厳に満ちた姿です。近づいて樹肌に触れることもできます。しかし、根があたり一面に広がっていますから、靴の底などで根を痛めない注意が大切です。
 かつては神社の前が海岸で、永目の港は八代や熊本に薪を積み出す基地として栄えました。しかし、石油やプロパンガスの普及で薪の需要が減り、道路が整備されたことで船が減り、町の姿も大きく変わってきました。しかし、この樹だけは変わらずに近隣の人に大切に守られ、樹の周辺はいつもきれいに掃き清められています。この樹も、大きく伸びる枝と豊かに茂る葉で心地よい緑陰を提供し、今も変わらぬ憩いの場として多くの人々に親しまれています。
 永目の少し北から標高300メートルの白岳(しらたけ)キャンプ場に登る車道があり、キャンプ場に接する湿地には県指定天然記念物のヒモヅルが自生しています。キャンプ場の造成にあたって保護に留意した整備を行い、生育に配慮した管理をしているので元気に繁茂しています。茎の先端が長く伸びて樹木に巻き上がる、キノボリヒカゲノカズラの別名もある南方系の常緑シダ植物で、その繁った姿はちょっと日本離れをした特異な景観です。
 また、少し登った白岳山頂(373m)から四方を見回す眺望も見事です。
 姫浦は、県内でも有数のおいしい蟹(ガザミ、ワタリガニともいう)の産地として有名です。天草漁協姫戸支所では、地元産の蟹を「姫ガザミ」のブランド名を冠して関西方面に出荷しています。どうぞ味わってみてください。
 また、景行天皇の姫君が暴風雨を鎮めるため身を投げて巨石になったという伝説の姫浦神社も、ここにあります。


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