大岳系山地東麓に、250年前の樋管を今も使用する日本最古の上水道の水源、轟水源がある。水源の池からあふれ出る豊富な水は、夏は子どもたちに贅沢な水遊びの場を提供し、冬は川霧の幽玄な眺めをつくり出す。水源のある木立は塀で囲われて鎮守の森のように集落の緑の核となり、後背にある宇土細川家墓所と共に自然林の林相を呈する樹林を残している。この一帯は轟泉自然公園として整備され、藩主の隠居所があった轟御殿と呼ばれる一画には水道の資料を展示する轟泉資料館や東屋がおかれている。轟御殿は桜の名所でもあり、隣接して住民が管理する菖蒲園もあって市民の憩いの場となっている。今後も、水源の樹林が周囲の開発によって孤立することがないよう、宇土の奥深い歴史と自然を感じとることのできるこの一帯を適切に管理し続けて欲しい。
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