熊本市渡鹿の東北東の伸びる産業道路の北川、レストラン駐車場の裏手にこの建物は建っている。バルコニー前面を、真南を向く住戸とは関係なく道路と平行な向きに設定したり、敷地高低差に合わせて建物の高さを段階的に低くするなど、外観に穏やかな印象を与える工夫がなされている。敷地南西隅にはサクラの古木がそのまま保存され、その周辺にはヒラドツツジ・キンモクセイが移植して保存されている。また、以前狭小であった敷地西側の道路に沿って、敷地内に歩行者用道路を提供している。このような、建物内に暮らす住民だけでなく、周辺を通行する人たちに対するやさしい心遣いや、土地の持つ記憶を継承することについても配慮していることが評価された。その他、住戸の境の壁壁、バルコニー手摺等によって、垂直方向のユニット感や水平方向の積層感が協調されたり、2本の溝によって壁面表情にリズム感を与えるなどの建築景観も評価された。
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