寄棟造りの「大田家住宅」は、江戸末期の建築で、茅葺屋根を2ヶ所で折り曲げた特徴的な外観をしており、球磨地方に多い鉤型民家が最も発達した形とされている。大田家はかつて相良藩の家臣として人吉に住んでいたが、後に当地に移り住み、農業と酒造業を営んでいたという。
昭和48年、国の重要文化財に指定されたが、経年による劣化が進んだため、平成18年から町が修理保存工事に着手し、2年半かけて、往時の姿を蘇らせた。周囲の大和塀も補修され、土間には焼酎製造用のカマドも復元された。分厚い茅葺屋根がことに印象的で、地域の歴史と文化、暮らしを今に伝えている。一般公開され、地域の小集会などにも活用されており、地域に根付いた、地域景観賞にふさわしいたたずまいだ。
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