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宇城市小川町の山間に位置する舞鴫の集落は、石垣を築き上げた農家が神社のある山頂まで小山のように積み上がった特異な景観を呈している。熊本城築城に加わった肥後の石工が積んだと言われる「農家の武者がえし」と言うべき2mを超える石垣が急勾配の参道に沿って舞鴫文殊堂まで続いていて、石塔や灯籠とともに参道の空間を成している。真っ赤な灯籠の経つ急勾配の参道は別名「願掛け夢御坂」と呼ばれ、100mほど登ると「西の太宰府」と呼ばれるお堂が見えてくる。「文殊の知恵」の御利益を求めて県外からも多くの受験生が参拝に訪れる。境内には神木とされる樹齢400年のムクの木や珍木・玄圃梨(けんぽなし)など文殊ゆかりの名木が枝を広げ、参拝者の気持ちを和ませている。文殊堂の歴史に育まれた舞鴫地区は、それを守っていこうとする村人の生活の知恵と誇りが感じられる。 |