有明海干拓のために造られた潮受け堤防は、かつて荒ぶる自然と対峙した圧倒的な存在感を今に残している。総延長5kmに渡る様々な石垣やコンクリート、その技法や素材の組み合わせは、明治より昭和に至る干拓の歴史を物語り、波返しの曲線は機能に徹した形状が力強さと個性を与えている。また、豊かに水を湛えた大豊開内側の内水面は、他地域に見られない田園景観形成の可能性を秘めている。
近代産業遺産としての価値にとどまらず、これからの地域景観として新しい生命を与えられると確信している。将来における農業の再生・育成をはぐくむ地域として期待したい。
|