下江津湖の湖畔に広い芝生が伸びやかに拡がり、そこには湧水などが集めた小川が幾筋か流れている。都市公園として整備された場所であるが、管理棟などの人工物が周囲の眺めの中に埋没しそうになるほど自然を感じさせ、周りの道路より低い場所であるにもかかわらず開放感がある。
湖畔の葦や水路の水草が刈り残してあっても藪と感じないのは、ここが、水遊びをする子どもと水鳥や水生生物が共存できる場所であることを読み取れるからであろう。全体設計の適切さと周到な植生管理の賜物である。かつて冠水に悩まされる水田地帯であったこの公園は、今も年に数回は増水した湖面に沈んで洪水調節の役目を果たしている。緑地のもつ多面的な機能を遺憾なく発揮する空間は人の心に快く写るものだということを改めて認識した。
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