サインデザインは建築物の後づけと考えられがちであるが、これは独立した一つの主張する造形である。四つの正方形から成るフォルムは単純明瞭で力強く、対角線上に同じ表面仕上げを施した正方形を配して変化を持たせている。仕上げの違いから光のあたる角度によっては、年を重ねた金属から生じた緑青と赤錆のようにも見える。それは日本の美「侘び寂(さび)」を感じさせる。その上のオーソドックスな明朝体の白いロゴが、素材のもつ質感と実在感を際立たせている。
背景には岩山重盤岩と深い緑、珪藻土仕上げの壁に片流れの屋根をもつ端正な建物の前に、このサインは不思議な抒情的存在感をたたえている。「緑と彫刻のあるまちづくり」津奈木にふさわしいサインだと思う。
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