交通量の多い国道3号新松原交差点は、大型店舗の進出により様変わりしている。そこに昔から在る「小袖餅本舗」は宇土市の看板とも言える。そこでストイックなまでに数寄屋造り風を貫いているのは、最近の派手な看板やのぼりを連立させる店舗に対してひとつのアンチテーゼとなっている。
小袖餅の由来を描いた大のれんも品良く、やさしい色合いでシンプルなデザインの広告塔と軒下の控えめに風に揺れるのれんが日本の美意識を感じさせる。前面道路との境界部分に未完成さが感じられるものの、駐車場からの回廊による導入や中庭の配置が建物全体に落書きを与え、一歩店内に入ると、国道の喧噪を忘れさせる。改築後に女性客が増えたのもうなずける。
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