旧薩摩街道に面してたつこの2つの建築は時代も様式も異なるが、今ここに、まちづくり拠点施設として新しい役割を与えられた。
銀行建築と町屋(井芹家住宅)として建てられ昔の栄華の名残として宮原の地に在った。平成5年以降それぞれ買収され、住民参加のまちづくり拠点として情報銀行が発足し、その実績を町内各地で築いていった。そしてまちつくり酒屋(旧井芹家住宅)も住民と行政の協力の中で竣工され活動拠点としてその機能が大きく付加された。
これまで復元・保存といった手法ではなく、この施設の再生の方向性は、これからのまちづくり拠点としての使い勝手の良さを目指した改修である。その特色は土間にカプセル的に装置化された厨房であり、2つの建築の狭間を広場として活用した事、蔵の移築、旧銀行部への増築と様々な地域コミュニティからの要望・用途に対応した事から理解できる。
住民にとって使い勝手のよい空間と地域の景観の継承といった2つの事項が結びついた良質の作品である。
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