平成11年度に波野村内の5つの小学校・分校を統合してこの小学校は生まれた。現在114名の児童の学舎と地域住民のための機能を持っている。
杉林を背景として山間部の中腹に整った正面性をもって小学校はおさまっている。しかし、この建築の評価すべき点はブロック分けされた棟間にある。図書室や体育館に至るアプローチ、教室からバルコニーを経て行く広場、音楽室のテラスを出ると裏庭、そこかしこに楽しい空間がある。阿蘇という自然環境の中に集う小学生が、まるで町屋の路地や小さな空き地で遊んでいる場面が出現する。内部の配置計画だけでなく、棟間の小さな外部空間群を一体として創り出したことを評価したい。
再度訪れた初冬、霜柱を見つけ歩いた時、私が小学生のころの校舎の裏庭を思い出した。
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