文豪・夏目漱石は、五高教授としての熊本在勤時代(明治29年4月〜同33年7月)に6度転居しているが、もっとも長く1年8ヵ月暮らし、長女筆子が誕生したのが第5番目の内坪井旧居。
木造平屋建て(延べ床面積約210平方メートル、玄関わきの洋間は大正時代の増築)の明治の風情を残す民家が、庭の緑に囲まれて、閑静なたたずまいを見せている。熊本市は昭和53年市指定史跡とし、平成8年に漱石来熊百年記念事業の一環として補修整備し、新たに庭に句碑も建立した。明治の面影と若き日の文豪の生活をしのばせる文化遺跡で、街の歴史の奥行きを感じさせる。
|