不知火海を見おろす小高い丘の上に、水俣病の犠牲者を慰霊することと、この災禍の教訓を後世に伝えるために、『水俣メモリアル』が建設された。
不整形をした階段状の土色の広場全体に、108個のステンレスの球体が不規則に置かれている。それは、犠牲者の霊魂のようであり、漁り火のようでもある。見る者の姿を映し出す球は、人々に過去・現在・未来への問を投げかけ、深い感銘を与える。
旧来の記念碑は、中心性・正面性を持った塔状のものが多かったが、ここでは、広場全体が祈りのための均質な『場』となっていて、モュメントの新たなあり方を提案している。
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