五家荘の緑濃い渓谷で柔らかな懸垂曲線を描く梅の木轟公園吊橋は、まるで空からの贈り物のような白い絹布をイメージさせる。橋に要求される耐久性や強度を、現代技術を駆使したPC呂床板構造やアルミ製高欄の採用で解決し、繊細なデザインで処理している。大自然に対峠した構造物がその人工性を自己主張することなく絶妙な関係で周囲と融合しているがゆえに、建設にかかわった人々の配慮や確かな技術力に感心させられる。