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  老樹名木詳細
 
池尻の唐傘松(いけじりのからかさまつ)


■自然の造形美に心惹かれる美しき名木

 南外輪山の稜線から南になだらかに広がる草原の尾根の南端、遠くからも目立つ場所に立っています。大きな唐傘を広げて立てたような樹形といい、立っている場所の素晴らしさといい、地域のシンボルとして賞賛に値する樹です。庭園造りの名人が長い年月をかけて仕上げた造形のように誤解されることがありますが、全く自然のままに造られた造形の妙であることに、大きな価値があります。
 樹の近くに座って見上げると、高原を吹き抜ける風が唐傘松を巻き込むように流れるのを、樹と一緒になって感じることができます。しかし、そのような優しい風ばかりではなく、台風のときなどは枝葉を吹き飛ばし、樹を押し倒すような凶暴な風が吹き荒れます。そして、そのような厳しい試練を経て、この美しい形が造られたことを忘れてはなりません。
 この樹もかつて、松くい虫の被害を受けて衰弱しかけたことがありました。しかし、地元の人々の懸命の養生によって健康を取り戻し、元気な姿を見せています。樹の周囲に柵が作られ、写真撮影の邪魔になるとの苦情も聞かれますが、これは大勢の人が訪れるようになって起こる根元の踏み固めを防ぐ処置です。
 根元が踏み固められると根の呼吸が阻害されて樹全体が衰弱します。地中から水と養分を吸収する根の健全さが、樹の健康を維持する根本(こんぽん)で、枝葉の問題よりも重要なのです。とくに松は根の踏み固めに弱い植物なので、注意しなければなりません。昭和20年代に皇居前広場周辺の松が次々に枯れて大きな問題になりましたが、これは終戦後に広場周辺が市民に開放され、多くの人が石垣の上など松が生育している場所に立ち入るようになって、踏み固めが急速に進んだためでした。
 この唐傘松は、山都町浜町から高森に向かう街道沿いにあった松並木の一本といわれています。高台に立つこの樹のところから南を望むと、深い緑川の峡谷の向こうに五家荘(ごかのしょう)や内大臣(ないだいじん)や大官山(だいかんざん)の山々が、北を見ると阿蘇の南外輪山の稜線越しに高岳や根子岳、噴煙をあげる中岳などの中央火口丘群が眺められます。


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