■立派な枝振りで、地域の人々を温かく包み込む大樹
鹿子木親員入道寂心は、この近くの楠原(くすばる)に城を構えていた豪族で、のちに、熊本市古城町(ふるしろまち)にある熊本県立第一高等学校の場所にあった隈本城に本拠を移し、天文18年(1549)に没するまで、隈本城を中心に勢力を伸ばしました。天正16年(1588)に加藤清正が熊本に入国する以前のことです。この樹は、北迫地区の人々の崇敬を集め、毎年1月11日に全員が樹の下に集まって神事を行い、新しい年の始まりの日としています。
樹根はタコの足のように大きく地上を這い、大きさ、樹勢、樹形、枝張り、どれをとっても第一級で、県内で最も樹形の良いクスノキです。その偉大さを鑑賞するには、遠くから樹を目掛けてだんだん大きくなる姿を眺め、樹の下に着いたら首が痛くなるほど樹を真下から見上げ、その枝が絡み合って伸びているたくましい姿を見ます。そして、また徐々に離れて見ると、樹がひとまわり大きく見えます。
周辺は寂心緑地として公園になり、駐車場やトイレ、広場、休憩所などが造られて、ここを通る人たちの憩いの場になっています。
平成3年(1991)の19号台風で、かなりの枝を失うなどの被害を受けましたが、力強い生命力でほとんど傷も癒え、葉も豊かに茂り、雄々しい姿を誇っています。
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