くまもと緑・景観協働機構
事業概要 各種助成事業 くまもと路樹・景観の紹介 老樹名木めぐり 花と緑の園芸相談 調査・研究 各種申請書 お問い合わせ Q&A(FQA)
  HOME > 老樹名木めぐり > 039竹の熊の大欅 > 039竹の熊の大欅(詳細)
  老樹名木詳細
 
竹の熊の大欅(たけのくまのおおけやき)


■住宅地の中に異空間を作り、独特の雰囲気を醸しだす老樹
 県下では最大、全国でも第一級のケヤキの巨樹で、菅原神社の境内いっぱいに育っています。枝葉は近くの民家の屋根を覆うように広がっているのに、境内に入って近づくと枝張りの大きさを忘れてしまうほど、堂々と聳える巨幹の存在感に圧倒されます。ケヤキの老樹に多く見かける瘤(こぶ)もほとんどなく、見栄えの良い樹肌に緑色のコケが一面に付いています。
 ケヤキは本州以南から朝鮮半島や中国の温帯と暖帯の山地に自生するニレ科の落葉高木です。樹形が美しく、防風樹として家の周囲に植えられるほか、街路樹や公園樹でもよく利用されています。紅葉は地味ですが美しく、イチョウやモミジのような派手さはありませんが、好む人は多いようです。ケヤキは寿命が長くて風格ある老樹に育つので、国指定天然記念物だけでも18件もあります。そう聞くと、どれが
1番か2番かと気にする人が出てきますが、樹高や幹囲や樹の姿などの形と地域とのかかわりなどの何を重視するかで順位が動きますから、決めるのは困難です。しかし、このケヤキが全国18件の中でトップクラスであることは間違いありません。
 地上7メートルくらいの幹が分かれているところに空洞があります。これは第二次世界大戦後に襲った台風に一番大きい枝が吹き折られた痕で、幹の中に雨水が入らないよう処置されています。枝の切断部にトタン板で作った蓋がかぶせてあるのも、樹幹内部の腐朽を防ぐための処置です。このような大きな傷害からも回復してきた樹ですが、数年前に樹勢に衰えが見られ、踏み固めが原因だったので根元の土を柔らかくし、落ち葉を埋めるなどの養生をして以前の元気な姿に回復してきました。
 この樹は昭和初期に伐採されそうになりました。「竹の熊部落行事記録簿」によると、この樹は氏子共有のものですが、氏子の中に伐採を希望する者が出てきて、伐採するか保存するかの争いが裁判にまでなりました。しかし、結局は保存することに決まり、そのおかげで今日のわたしたちが目前にする威容が残されました。
 境内には菅原道真公を祀る天満宮と並んでお堂があり、阿弥陀様と六地蔵と猿田彦が祀られています。昔は3月と8月の25日・26日が大祭で、25日には小国両神社(おぐにりょうじんじゃ)の神主を、26日には満願寺の住職を招いて、地区民総出で盛大に行われていました。しかし、第二次世界大戦の前後から3月は地区民だけの行事になり、大祭は8月25日に両神社の神主と養光寺の住職を招いて行い、地区の人が藁を持ち寄って注連縄を編んで幹に巻く現在の形になりました。
 天神様やお堂の仏様たちとともに、このケヤキの巨樹は地域の人々の崇敬を集め、大切にされてきました。これからも小高いところから、地域の人々の生活を見守り続けてくれるでしょう。


© Kumamoto Midori Keikan Kyoudou Kikou. All Rights Reserved.