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菊池高校のチャンチンモドキ(きくちこうこうのちゃんちんもどき)


■大切にしたい校庭にある天然記念物の樹
 正門を入って正面の右手にそびえる黒い樹肌の巨木がチャンチンモドキですから、菊池高校を訪問すれば誰でも間違いなしに見つけることができます。地上3メートルほどで幹は二つに分かれて四方に枝を広げ、幹囲3.7メートルで樹高25メートルの堂々とした立ち姿です。高等学校の校庭に県指定の天然記念物があるのは、県内でここだけです。チャンチンモドキとは聞き慣れない変った名前ですが、中国原産で庭木として植裁されるチャンチンに似ているが別のものと言う意味で「モドキ(擬き)」がついた名です。
 チャンチンモドキはウルシ科の落葉高木で、中国南部とタイ・インド北部・インドネシアなどの温帯と亜熱帯に分布し、日本では熊本県のほか鹿児島県、福岡県、岐阜県で生育が確認されているだけの希少種で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に選定されています。県内では天草(あまくさ)市福連木(ふくれぎ)、球磨(くま)郡山江(やまえ)村、人吉市鹿目(かなめ)の山中で自生が確認されていますが、非常にまれな植物です。
 それが、中世の時代から菊池一族の本城があった隈府(わいふ)の町の中に、日本一のチャンチンモドキの巨樹だろうと言われるものが存在しているのは不思議なことです。名前は似ていても、チャンチンのように有用な樹木ではありませんから、植えられたとは考えにくい木です。また、もともとここに自生していたとしても、なぜこのような人里で今日まで大切に守られて育ったのか不明の点が多い老樹です。それだけに大切に保存しなければならない先祖からの遺産であり、生徒たちに学校のシンボルとして親しまれ大事にされています。
 チャンチンモドキという名前の由来になったチャンチンは、中国の中部に産するセンダン科の落葉高木です。寛永年間(1624~1643)に中国から種子を取り寄せて京都宇治の黄檗山(おうばくさん)萬福寺(まんぷくじ)に植えられ、若葉は香りが高くて普茶(ふちゃ)料理に用いられたことで有名です。寺院や庭園などに植裁されています。熊本市の池田小学校に大きく育ったものがありました。平成3年の台風で吹き倒されましたが、その根元からひこばえが芽生え、元気に育って大切にされています。
 チャンチンを漢字で書くと椿です。この字を日本人はツバキと読みますが、中国での正式名称である漢名では椿はチャンチンで、ツバキの正式の漢名は山茶です。しかし、ツバキに椿を使う習慣が強い日本の現状では、椿をチャンチンだけに限定して使うことは無理ですから、山を上って下りるところが峠という国字を使うのと同じように、春を代表する木という意味の国字として使うのが良いでしょう。


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