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  老樹名木詳細
 
大野下の大蘇鉄(おおのしものおおそてつ)


■「蘇鉄の精」が宿る、優美な姿の老樹
 県下で最大、全国でも最大級のソテツです。どっしりと構えた根際から20本ほどの幹や大枝を四方八方に伸ばし、8メートル四方の玉垣の中から溢れんばかりに繁茂しています。樹勢は盛んで、青々とした葉を繁らせるさまは、羽を広げた孔雀(くじゃく)にも見える豪勢な姿です。あまりにもよく繁ったため自重を支えきれず、約20本の支柱で支えられています。
 このソテツの所在地は「蘇鉄さん」という個人の住宅の庭ですが、家の方に挨拶してお願いすると、快く見学させていただけます。
 樹齢1000年とも700年ともいわれるように長い年月を生き続けてきた老樹なので、数多くの言い伝えが残されています。「蘇鉄の精」が家を守るというのが基本ですが、最も有名な話は家人が田畑に出払っているとき妙齢の女性になって機(はた)を織り、その音がするため昔から盗難に遭わないという話です。現在では理解しにくい話ですが、戸締りもせずに家族全員が田畑の作業に出て、お客さんも泥棒も簡単に家の中に入れた時代には、このような留守番がいることはとても羨ましいことだったでしょう。
 また、この家の美しい娘に多くの若者が結婚の申し込みをしたのに、娘は機織りを続けたまま、誰にも良い返事をしませんでした。その中の一人の若者が耐えられなくなって、娘の持っていた針を取り上げて娘の肩に突き刺したところ、娘は叫び声とともに消えてしまい、手元に残った糸を辿ったところ、庭のソテツの幹に刺さった針に繋がっていたという話です。それ以来、誰も居ないのに機織りの音がするという話もあります。
 「蘇鉄の精」はこの樹の幹に住んでいて、ソテツの子株を無断で盗むと災いを呼ぶといわれ、盗んだ者が急に腹痛を起こして元の場所に戻したら治まったという話もあります。
 蘇鉄家では大蘇鉄をとても大切にしておられます。草取りや施肥などの日常管理に細心の注意をはらい、初夏に古い葉を刈り取って新しい葉の育成を促す作業は、家族に加えて友人など十数人で丸一日かかる大仕事になるそうです。十数年前にシロアリの被害で大きな支幹を切り落としたときには、枯らしてはご先祖様に申し訳が立たないと祈る気持ちで処置をされました。
 近くに、玉名市指定登録文化財の「安養寺の蘇鉄」と「西家の蘇鉄」があり、荒尾市増永には「正楽寺の蘇鉄」があります。また、平成19年2月に国の登録記念物(植物)に指定された玉名市の「菊池川堤防のハゼ並木」は、植物としては日本最初の指定です。


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